『妻はサバイバー』を読んで
話題になっていた記事『妻はサバイバー』を一気に読んだ。壮絶の一言だった。凄まじい。なんとも言えない。とても重い。20年。。。長い。
著者は朝日新聞の記者を務める永田豊隆さん。ある日妻の様子がどこかおかしいと訝しむところから始まる。
大量の食べ物を食べては戻す、を繰り返す摂食障害から始まり、やがてアルコール中毒になってしまう妻。
かさむ食費とジリジリと尽きていく講座残高。やがて明らかになる幼少期の虐待とそこから逃避するための過食という行為の癒し。
この夫婦の20年にわたる介護と、仕事と社会との折り合いをつける悪戦苦闘の歴史。あまりにも壮絶だった。
何よりも妻に寄り添い、介護と仕事を両立し続ける著者のタフネスがすごすぎる。ほとんどの家族は見捨てて逃げるか共倒れかの二択に行きついてしまうのではないだろうか。
28日まで無料公開されているので、気になった方はぜひ読んでみてほしい。今年読んだ文章の中でダントツで胸に刺さった。
"描いた内容は、「都市部に住む正社員の男性」という限られた視点から見えた光景です。これが仮に「地方に住む非正社員の女性」が精神障害の男性を支えるかたちであれば、まったく違った光景が見えるはずです"
おっしゃる通り、どこか一つで社会の歯車が噛み合わなかったら、この夫婦はサバイバーとなれなかっただろう。そんな現実を考えさせられた。
これを書いた筆者も、書くことで癒されて欲しいと切に願いました。そして、これを書き、公開してくれたことに感謝したい。