先週、仕事で鳥取県に行ってきた。鳥取県庁とやっている仕事があって、その打ち合わせとご挨拶が目的だ。この案件は今年度から自分が担当していて、正直まだあまり状況を把握できていない状態なのだけれど、とにかく一度行ってみましょう、ということで出かけてきた。せっかく鳥取まで行くのだから、行き方も泊まる宿も食べるものも、出張とはいえそれなりに楽しみたいなと思いながらの道中だった。
まず行き方でいきなり悩んだ。東京から鳥取って、思っていたよりずっと遠い。飛行機か電車かの二択で、飛行機なら飛んでいる時間は一時間もかからずサクッと着く。ただ、空港まで行って、搭乗手続きをして、待ち時間があって、飛んで、着いたらまた市内まで移動して、と乗り継ぎがやたらと多い。おまけに飛んでいる間はネットに繋がらない。そのあたりがどうにもせわしなく感じて、今回は飛行機はやめておくことにした。結局は新幹線だ。鳥取へは、まず岡山まで新幹線で行って、そこから特急のスーパーいなば、あるいはスーパーはくとに乗り換える。この特急が岡山から鳥取に向かって縦断するように走っている。岡山まで三時間半から四時間、そこから鳥取市までさらに二時間ほどで、一日目の移動だけでトータル六時間くらいになった。座っていればいいだけだし、スマホでテザリングすれば仕事もできるので楽といえば楽なのだけれど、それにしても長かった。行きはお菓子をつまみながら、車窓に流れる景色を眺めていて、まあそれなりに旅情はあったと思う。
鳥取駅に着いたら、これがなかなかの雨だった。せっかくなので市内を歩いて美味しいものでも、と思っていたのに、雨で歩きづらくてすっかり気が削がれてしまい、ホテルの近くにあったマッサージ店で腕をほぐしてもらって、宿に帰って寝た。泊まったのはグリーンモリス鳥取という名前のホテルだったと思う。一泊朝食付きで七千八百円と、そんなに高くないのに、とてもきれいでホスピタリティも高く、大浴場とサウナまであって、個人的にはかなり当たりだった。特に二階の漫画コーナーがすごくて、古い漫画までこだわって揃えてある。廊下のあちこちに漫画のキャラクターが描かれていたりして、相当気合を入れて作られたホテルだなと感じた。朝食はバイキングで、カレーやら何やらをいろいろ食べた。
食べ物といえば、鳥取で今の時期に美味しい名物って何なんだろう、と出身の人に聞いてみたのだけれど、返ってきたのは「今の時期はあんまりないよ」というなかなかシビアな答えだった。自分でもいろいろ調べてみたものの、結局この季節の名物というのはよく分からずじまいで、夜は雰囲気で駅前の美味しそうな店に入る、という選び方になってしまった。鳥取は冬になると海産物や柿が美味しいらしいので、機会があれば今度は冬に来て、そういうものを食べたい。ちなみに二日目のお昼は、同僚たちと県庁の社食で食べたのだけれど、定食が五百五十円くらいで食べられて、めちゃめちゃ安い、いいなあと妙に感心してしまった。
そして今回の出張、自分の中でのいちばんの楽しみは、実は帰り道にあった。二日目は県庁で打ち合わせをして帰るという流れで、帰りもまた岡山まで戻る必要がある。特急に二時間ほど揺られて、夜の八時ごろに岡山駅に着いた。ここからが本番で、山陰地方を走るサンライズ出雲に乗って帰るのだ。今の日本で唯一、定期的に走っている夜行列車で、今回の旅のハイライトはこれに乗ることだと、わりと前から楽しみにしていた。この列車、寝心地のいい席とそうでもない席がいろいろあって、シングルとかソロと呼ばれる、ちゃんとしたベッドがあって鍵もかかる個室は、予約開始のだいたい一ヶ月前からかなりの人気で争奪戦になる。直前まで何度調べても空きが取れず、結局いちばん下のグレードであるノビノビ座席で帰ることになった。まあ廉価だし、これはこれで旅情があっていいか、という気持ちで乗り込んだ。
ノビノビ座席というのは、要するに硬い床にカーペットが敷かれたようなスペースで、枕用のシーツと薄い布団のようなものが一人分ずつ置いてある。ただ、それだけだとあまりに床が硬くて眠れないだろうと踏んで、アウトドアで使うエアマットを持っていって、膨らませて敷いた。岡山を夜十時すぎに出て、翌朝七時に東京に着くというスケジュールだ。で、肝心の寝心地はどうだったかというと、エアマットまで駆使したにもかかわらず、これがなかなか眠れない。結局三時間くらいの睡眠で朝を迎えることになった。旅情はたっぷり感じられたけれど、硬くて眠れない、というのが正直なところだ。とはいえ、夜行列車に一度乗ってみるという経験ができたわけで、これはこれで一つのいい経験だったと思う。旅情のある中国地方の旅として、こういうことがあってもいいよな、と思える出張だった。
また別のどこかに行ったら、その振り返りも残しておきたい。